ブロックチェーンと聞くと、難しいイメージがあるかもしれませんが、実はそれほど難しく考える必要はありません。パソコンやスマホで何かを検索したり、動画を見たりする時、インターネットがどうやって動いているか意識して使うことはないと思います。
これからブロックチェーンが使われたサービスや、社内システム、金融機関のサービスなど出てくるかもしれませんが、ブロックチェーンの仕組みを意識してサービスを利用することはないと思います。
となると今ここでブロックチェーンについて詳しく知る必要はないかもしれませんが、今これを読んでいるあなたはこれから仮想通貨を購入したり、NFTを購入する機会もあるかもしれません。
記事を執筆している2023年時点では仮想通貨もNFTも黎明期で、それらに興味がある私たちは、決済が目的だったり、コレクションが目的ではなく、基本的には投資目的で購入する方が多い方と思います。
投資目的の場合、仮想通貨に限らずですが、「これが何なのか分からないけどとりあえず投資しておく」というのはあまりお勧めしません。自分の資産を守るためにも、基本的な仕組みは知っておいて損はありません。
ここでは、今回は、初めてブロックチェーンについて学ぶ方でも簡単に仕組みが理解できるようできるだけ噛み砕いて解説します。
ブロックチェーンを知るためのポイント4つ
- ブロックチェーンは革新的な取引方法
- ブロックチェーンは取引の台帳=銀行の通帳のようなモノ
- 個人間で取引ができる
- 取引の手数料が少額
- みんなでブロックチェーンを監視する
ブロックチェーンは革新的な取引方法
まずブロックチェーンという言葉は、取引データが詰め込まれた「ブロック(箱)」がチェーンで繋がっているように見えることから、そう名付けられました。
チェーンで繋がっているのは取引データが収納された「ブロック」です。例えば、「2022年12月23日、AさんからBさんへ1万円支払った」という内容のデータがいくつもブロックに入っています。
ブロックに収納されるデータ量は決まっており、いっぱいになったらチェーンで繋げられ、新たな次のブロックにデータが入っていきます。そうしてどんどんブロックは繋げられていきます。
ブロックの中のデータは暗号化され、チェーンによる繋がりも暗号によって繋がれているものなので、どこか1箇所だけデータを改ざんすることはほぼ不可能とされています。
「仮想通貨」とよく呼ばれますが、正式名称は「暗号資産」です。「暗号」とついているのはブロックチェーンは暗号技術が使われているので、これまでになかった「新しい取引方法」となっています。
ブロックチェーンは取引の台帳
ブロックには取引記録が入っており、それがチェーン上に繋がっている姿と言いました。つまり銀行の取引履歴を見ることができる「台帳」のようなものです。ようはデジタル上の台帳がブロックチェーンです。しかもブロックチェーンを使って取引されたデータは、誰でも追跡して閲覧できるようになっています。
ブロックチェーン上では送り主や、送り先に「アドレス」があります。銀行でいうところの口座番号です。例えばビットコインを送る時は、相手のビットコインアドレスを指定して送ります。そのアドレスが全部見られるように台帳の中身は公開されています。
個人間で取引ができる
田舎には無人で野菜を売っている棚があったりします。棚の中に野菜が並べられているので、欲しい人は鍵のついた箱にお金を入れて、野菜を持って帰ります。これは顔の見えない相手との個人間の取引です。
スーパーに置いて野菜を売れば、仲介業者に売ってもらうための手数料を支払います。しかし無人市のように個人間なら仲介手数料は必要ありません。これがブロックチェーン業界では「P2P(ピアツーピア)」取引=「個人間の直接的な取引」と言われます。
P2Pで知られているのが、中古を個人間で売買しているメルカリです。メルカリはブロックチェーンを使っているわけはありませんが、メルカリが仲介となって個人間で取引をしています。ブロックチェーンを使っている仮想通貨は、P2P取引を可能にしており、お金のような価値のあるモノを、銀行のような仲介者を必要とせずに価値の交換をしています。
したがって銀行にはデータを保管しおくサーバーがあり、この従来あるシステムを中央集権型といいます。対して、データを中央で保管するサーバーのような存在がないブロックチェーンを非中央集権型と言います。つまりブロックチェーンには運営者や管理者は存在しないのが基本です。
みんなでブロックチェーンを監視する
中央集権型には管理している企業や運営が存在するので取引の不正などは彼らがチェックしています。しかし非中央集権型のブロックチェーンには管理者が存在しないので、不正な取引のチェックは取引を承認する人が行います。取引を承認する人はたくさんいます。しかし誰が取引を承認するかは、それぞれのブロックチェーンのルールによって異なります。
ビットコインのブロックチェーンなら計算が一番早い人、イーサリアムならたくさんイーサリアムを保有している人、また他のブロックチェーンではたくさんコインを保有しつつ、たくさん取引をしている人といったようにルールがあります。
ブロックチェーン上で取引をしていたり、計算をしている者同士が、取引の「整合性」を確かめ合う仕組みになっています。これはお互いを監視していることでもあるので、取引記録が改ざんされにくいという特長があります。また取引を承認した人には報酬があり、新規に発行された仮想通貨(ビットコインの取引ならビットコイン)が報酬となります。
企業でのブロックチェーン活用例
ブロックチェーンが最も活用できると期待されているのは金融業界や不動産業だけでなく、食品のトレーサビリティや物流業界です。ここで企業でのブロックチェーンの活用例について紹介します。
金融業界における活用例
ブロックチェーンは仲介機関を必要とせず、どの国へも少ない手数料で仮想通貨を送金できます。
その技術を利用してIBM(ニューヨークにあるテクノロジー企業)はブロックチェーンベースの国際決済ネットワー「Blockchain World Wire」を発表しています。
ブロックチェーンでの新たな送金ネットワークサービス「World Wire」の限定的な運用を開始し、国境をまたがる清算と決済をほぼリアルタイムで完了できるとのことです。
食品業界においての活用例
食品のトレーサビリティ(その製品がいつ、どこで、だれによって作られたのかを明らかにすべく、原材料の調達から生産、そして消費または廃棄まで追跡可能な状態にすること)においては、商品を出荷する農家や加工業者・流通業者など、販売までに商品に係る業者をブロックチェーンに記録することで、食品から起きた健康被害の原因を瞬時に判断することができます。
アメリカの巨大スーパーマーケットWalmart Inc.(ウォルマート株式会社)では、IBMが共同でシステムを構築し、食品の安全を担保しています。ウォルマートではすでにブロックチェーンが導入されています。
トレーサビリティー・プラットフォームに自社の食品情報を提供すると、ブロックチェーン上で情報が記録され、それらがリアルタイムで関係者に共有されるようになっています。そしてPCやモバイル端末から追跡コードを入力するだけで、サプライチェーン上の取引を迅速にトレースバックすることができます。
「食」の安全性という点では、秒単位で瞬時に商品を追跡でき、食品の汚染や中毒の拡散を防ぐことを可能にしています。
まとめ
ブロックチェーンは仮想通貨に使われているだけでなく、様々な業界に活用されている技術です。一番最初にビットコインに使われたという歴史がありますが、怪しいものでもなんでもなく新しいデジタル通貨であり、取引方法です。
ただ投資としてビットコインやNFTを購入する場合、信用を裏付けされている技術や価格変動リスクなど知っておくことで、自分の中で納得して購入することができます。
また人から勧められた場合も、漠然と購入するだけでなく、先ずイメージだけでも良いので概要を掴んでおきましょう。